アメリカでの会社の解散・清算

1.非上場会社(およびその株主)にとっての終点――”Exit Strategy”
(a) 株式の売却 (Sale of Stock)
(b) 資産の売却 (Sale of Assets)
(c) 解散 (Dissolution)

2.解散・清算のための会社法上のプロセス
(a) 取締役会の決議――会社解散を株主に勧告
(b) 株主の承認(通常、発行済み株式の3分の2が必要)
(c) 州務局(Office of the Secretary of State)への書類提出

(i) 解散申請書(Articles of Dissolution)
必要な内容
――会社名
――株主の承認が行われた日にち
――「株主の承認が合法的に行われた」とする記述

(ii)税務手続き終了証書(Revenue Clearance Certificate)
州財務局(Department of Revenue)が発行する書類

(iii) 申請手数料は$0
(d) 上記の書類が州務局に受理された日をもって、会社は正式解散
(解散日は、受理された日から最高90日、遅くすることが可能)

3.税務上のプロセス
3.1 連邦税
(a) フォーム966をIRSに提出
――株主による解散承認から30日以内
――承認された解散決議案のコピーをフォームに添付

(b) 連邦法人税申告書(フォーム1120)の提出と法人税の支払い
――期首から解散日までをカバーする申告書
――解散日から3ヶ月目の15日が申告期限
(例えば3月31日が解散日の場合、6月15日が期限)
――以下の書類を添付しなければならない:
*承認された解散決議案のコピー
*株主に配当される金品に関する情報(時価、配当日等)
*株主リスト
――必要なら修正申告を後日提出

3.2 ワシントン州税

(a) 州ライセンス局(Department of License)のマスター・ライセンス・サービスに書面で会社解散の意向を通告する。同局が関連各局に連絡する。
――書面中必要な情報は
* Unified Business Identifier (UBI ナンバー)
* 会社名、電話番号、所在地
* 「会社を解散する」という記述と会社解散日(営業停止日)
* 役員の署名

(b) 州財務局にビジネスを停止したことを通告
――通告は電話やウエブ上で可能。また最後のCombined Excise Tax Return(下記)で行うことも可能。

(c) 州税申告書(Combined Excise Tax Return)の提出とすべての州税の支払い
――ビジネスを停止してから10日以内に提出・支払い
――必要なら修正申告を後日提出

(d) 会社解散・取消申請書(Application for Withdrawal or Dissolution of a Corporation and Guaranty)を州財務局に提出(Fax可)

(e) 州財務局がRevenue Clearance Certificateを発行
――これがないと会社は解散できない。州税の支払いが解散の前提
――もし全ての条件を満たしていれば、1週間程度で証書を発行してくれる(Fax受信可)

4.ビジネス上の必要事項
(a) 取引先への通告
(b) 契約相手への通告と契約解消の同意
――契約の譲渡または売却も選択肢
(c) 有形・無形資産の売却、譲渡、または株主への配当
――株主への配当がある場合は、フォーム1099-Divを株主に提出。また同フォームおよび関連したフォーム1096をIRSに提出
――株主へは現金または現物での配当が可能
(d) 未払い金の支払い、借入金の返済
(e) 従業員の解雇
(f) 前払い金の払い戻し
(g) 銀行口座の閉鎖
(h) 電話、電気、各種ユーティリティーの停止
(i) 郵便の転送
(j) 保険会社への通告(払戻金の受け取り)
(k) 会社関連記録の保持(5-10年)

5.タイミング
(a) “Dissolution”(解散)と“liquidation”(清算)の違い
(b) 解散後も会社として可能なこと:
――資産の回収
――資産の売却
――債務の処理
――残っている資産の株主への配当
――その他の清算手続き
(c) 清算終了までの法律で定められた期限は無い

6.注意点
(a) 会社(および役員、取締役、株主)に対する訴訟は解散後2年以内なら法律上可能。

(b) 解散時に存在が明らかになっている第3者のクレームがあれば、その第3者(クレーム保持者)に対して会社解散の通知を送ることが望ましい。クレーム保持者は通知の中で指定された期日までに、クレームの具体的内容を会社に書面で伝えなければならない。もしそうしなければ、クレームは無効になる。もしクレームの内容を会社に書面で伝えたものの、会社側が対応を拒否した場合、クレーム保持者は90日以内に訴訟を起こさなければならない。もし訴訟を90日以内に起こさない場合は、クレームは無効になる。

(c) もし解散時に未解決の紛争があり、損害賠償金等の支払いが予想される場合は、エスクロー口座を設け、後日の支払いに充てる方法が一般的。もし紛争解決後に口座に残金があれば、株主に配当する。

(d) 会社の資産はまず債務の支払いに充当しなければならない。その後で残金があれば株主に配当する。株主への配当が、債務の支払いの前に行われ、その結果として債務の支払いが全額行われなかった場合は、債権者は株主に支払いを請求できる。